各大学出題データと対策

 

大学別に主題形式・対策方法を公開しています。

●東京大学

出題形式
2009年
第1問:600字の論述
第2問:60字×6の論述
第3問:記述問題×10

出題分野

92 1:主権国家の発展段階 2:植民地争奪戦争 3:東西交易・貿易史
93 1:戦後のドイツ・ヴェトナム 2:宗教と中央権力の関係 3:ローマ・ビザンツ・秦漢・南北朝
94 1:モンゴル 2:英・露・中国の農村 3:民族問題
95 1:地中海世界 2:清・日・英の地域支配 3:人々の移動
96 1:パクス=ブリタニカ 2:異文化の出会い(コロンブス・清) 3:都市に関する設問(総合問題)
97 1:第一次世界大戦後の帝国の解体 2:海洋の歴史 3:科学技術・商業史
98 1:アメリカとラテンアメリカ 2:キリスト・イスラム教の改革運動 3:言語の歴史
99 1:イベリア半島の歴史 2:近現代経済史 3:19・20cの世界経済の影響
00 1:18世紀の清・フランスの思想 2:統合と排除の歴史 3:地中海世界
01 1:エジプト史 2:20cの戦争と平和 3:近代以前の商業交易

 02

1:19〜20世紀の移民 2:清・ムガル・オスマン 3:ヨーロッパ・西アジアの都市

 03

1:輸送・通信技術の発展と植民地化と民族運動 2:文化の摂取と創造 3:交通手段の発展

 04

1:銀に関する世界の一体化 2:ユダヤ・キリスト・イスラーム教 3:書物に関するテーマ

 05

1:第二次世界大戦の影響 2:ヘレニズム文化の影響 3:モノを通じた交流の歴史

 06

1:三十年戦争・フランス革命戦争・第一次世界大戦での戦争を助長・抑制する傾向 2:東西交渉 3:政治的な統合

 07

1:農業生産の変化 2:暦 3:植民地・領土獲得と民族運動

 08

1:パクス=ブリタニカ 2:領土・境界をめぐる歴史 3:植民地・領土獲得と民族運動

 09

1:18世紀までの政治権力と宗教 2:古代の都市 3:様々な団体・結社

 10

1:オランダの世界史における役割 2:アジア諸地域における知識・学問や知識人の活動 3:歴史叙述

11 1:イスラーム文化の他文化の受け入れと影響 2:帝国(ローマ・明清・アメリカ) 3:食生活

東大の問題は単に知識を聞くより思考させる問題が多いのが特徴です。第1問では、他地域にまたがる内容もしくは特定地域の幅広い時代についての膨大な内容から、問題要求に従い選別・処理(2001年の問題では2つの側面を考えながらの部分)して450〜600字にまとめることが要求されます。第2問は60〜120字の短文論述が、第3問では10問程度のの論述以外の記述型問題が出て、各国史・地域史といった通史的なテーマよりも経済・交流・移動・ネットワークといったテーマ史の形を取った世界史の総合な問題として聞かれます。問われている事自体は各設問が独立しているので、通史的な学習と過去問演習で十分答えれる内容です。2004年から長文論述、短文論述、記述設問傾向が昔に戻りました。

難しい問題

99 第2問の問1・問3
00 第2問の問1・問3・問4
01 第2問の問3

 02

第2問のジャーギール制、第3問のウニヴェルシタス、城郭から戦術を聞いた問題など今年は難問が多かったです。第1問の論述も書きにくいテーマだったでしょう。
03 第2問の問5・問7、第3問の問5・問7・問10
04 第3問の問9・問10

 05

第3問の問5のa

 08

第3問の問3

 09

第3問の問3のb、第3問の問4

対策
第1問の長文論述では、単に教科書の要約ですむ問題は出てない。過去問を中心に問題要求に従い選別・処理して最近は600字、だいたい450〜600字程度にまとめる訓練を積むこと。また、短文論述を含めて過去問を見ていると過去に出された問題に似た設問が多い。HPで公開している約30年分の過去問をしっかり見ておこう。

 第2問の短文論述は30字から120字合計で360字程度を書かせる。過去問を見ていると100字以内の問題は説明・理由・経過など知識を問う問題が多く、2004年の第2問の短文論述のような100字以上の問題では比較や違いや変化など知識をから考えさせる・作業させる問題が多い。HPの論述対策問題集の200字以内の短文論述やHPで公開している東大の約20年分の短文論述をみて、どんなことを書けばいいか考えて、教科書や用語集で知識を再確認していこう。2004年のような120字の考えさせる・作業させる問題は字数も少なくかなり訓練を積まないと書きにくい。過去問や似た他大学の問題で書く訓練をしっかり積むこと。

 第3問の論述以外の問題への対策としては、問われる内容自体は市販の空欄補充・下線部設問を扱った問題集で問われている標準的なものなのでここで点を落とさないように繰り返し基礎・標準的な事項を確認すること。まれに難問が出ているのでそれはできなくていい。記述問題の中には見た目は一問一答ぽいが数少ないヒントからパズルを組み立てるように考えないと答えられないようなもの、教科書に載っていない内容を教科書に載っている事柄から考えて答えが分かるものなど思考力が問われるよく考えられた問題がある。それには過去問が一番の訓練になる。地図で場所をそのまま問う問題もよく出るから普段の学習で常に地図で確認するよう心がけよう。また、タテの流れだけでなく、東西交渉史や交易のネットワークなどのヨコの流れや経済史、現代の文化・科学技術史などのテーマ史を見ておこう。

過去問
東大の過去問(1980年以降)

●京都大学

出題形式
第1・3問:300字の論述
第2・4問:空欄補入・下線部設問の記述問題、短文の論述

出題分野

92 1:清の近代化 2:魏晋南北・唐の文化 3:ヘレニズム・ビザンツのロシアへの影響 4:中世イギリス史・英の対外進出・戦間戦後のイタリア
93 1:10〜11cの西アジア 2:秦〜五代・明清の文化 3:モンロー主義・ヴェルサイユ・ワシントン体制 4:地中海・オランダ史
94 1:4〜5cの中国 2:清末戦間期の中国・アジアの文字 3:ギリシアの衰退・啓蒙専政君主 4:キリスト教史・フランス現代史
95 1:明の対モンゴル政策 2:春秋戦国・シーア派の王朝 3:中世ヨーロッパの商業圏・イギリス連邦 4:ローマ・大航海時代
96 1:6〜9cの東西交流 2:宋・清末 3:キリスト教の発展・英仏の重商主義 4:ルネサンス・現代欧米文化史
97 1:五四運動期の文化運動 2:中国仏教史・インドのイスラム化 3:都市・戦後フランス史 4:東欧史・絶対主義時代
98 1:官吏登用制度 2:イスラム文化・中国商業史 3:伊独現代史 4:ヘレニズム・ビザンツ・十字軍・近代ヨーロッパ史
99 1:オスマン帝国の崩壊とトルコの近代化 2:前漢〜宋・北京 3:アルザス・ロレーヌの歴史 4:ギリシア・ノルマン・オランダとイギリスのアジア進出
00 1:2世紀の中国 2:ティムール・清 3:ローマ期の地中海世界 4:バルカン・プロイセン・インド現代史
01 1:イスラム文化史 2:魏〜宋・海の道と中国の対外交易 3:奴隷制 4:ローマ・絶対主義・ラテンアメリカ

 02

1:唐の周辺諸国 2:中国経済史とエジプト史 3:17cの英・蘭 4:キリスト教史・西欧文化史・ロシア史
03 1:宋〜清の君主独裁制 2:中国戦間期・古代イラン 3:第一次大戦期の英のインド・エジプト統治 4:古代〜中世の都市・宗教改革・18〜19世紀前半のヨーロッパ
04 1:セルジュク朝・モンゴル帝国・オスマン朝のイスラムとの関わり 2:中国文化史・中国の対外政策 3:4世紀のローマ 4:シベリア・米独立戦争・19世紀末・20世紀

 05

1:1911〜37年の日本と中国の関係 2:中国史・インド史 3:18世紀後半〜19世紀前半の英仏の関係の変化 4:古代中世のヨーロッパ・19世紀のフランス・戦後のヨーロッパ

 06

1:1910〜50年代の中東アラブの分割・独立・離脱の経緯 2:宋元・中国現代史 3:4〜8世紀の地中海地域の政治的変化 4:イギリス経済史・19世紀前半の欧米・ロシア革命とソ連

 07

1:前2世紀〜16世紀までの中国王朝の北方民族への外交政策 2:トルコ民族・イギリスのアジア進出 3:1960年代の多極化の様相 4:ヨーロッパの指導者・太平洋・アメリカ

 08

1:宋での士大夫宋の形成と社会文化の変化 2:北方民族・元代の東西交渉 3:アテネの民主政 4:宗教対立・アフリカ・戦後の経済社会文化

 09

1:インドでのヒンドゥー・イスラーム教徒の動きと英の政策 2:中国と周辺地域・朝鮮 3:大航海時代での新旧大陸の変化 4:古代・中世・近現代東欧
10
1:戦間期における中国共産党の歴史 2:西アジア・清とロシア 3:古代ギリシア・ローマと西洋中世における軍事制度の特徴と変化 4:東欧・近現代欧米の人口増加・東南アジア現代史
11
1:4〜12世紀の江南 2:インド・宋代 3:1920年代のアメリカが関与した国際秩序の形成 4:ライン川・ルイ14世・バルカン半島


難しい問題
主に第1・2問はアジア史、第3・4問は欧米史でアジア史・欧米史の出題比率は半々。わりと各国・地域史の通史的な出題が多い。東欧史や文化史など未学習になりやすい分野からも出ているので、未学習・苦手分野をつくらないようにしよう。論述は一見教科書の要約的な問題に見えるが設問には文化・社会・経済面に留意しながらというような問題要求を処理して答える必要がある。近年は通史的よりも官吏登用制や奴隷制といったテーマ史の出題が増えている。第2・4問は市販の空欄補充・下線部設問を扱った問題集で問われているものと似ている。問題自体標準的なものなのでここで点を落とさないように繰り返し基礎・標準的な事項を確認すること。

99 第4問の問8
00 第4問の問2
01 第2問のe・問3・問17

 02

第2問の(13)
03 第4問の(16)
04 第4問の(14)(15)(ア)
05
第4問の(7)の(ウ)・(13)

対策
論述が2題計600字もあるので時間配分が難しくなる。第2・4問を短時間で仕上げて論述に時間を掛けるように過去問で訓練しよう。問われている内容自体は教科書レベルの標準的なものなので全分野の基礎・標準的な事項を確認し、そこで点を落とさないように。中国史は各王朝ごとに政治史だけでなく社会・経済・文化も一緒に押さえ、対外面でも中国の王朝との関係をよく確認すること。欧米史は各国史で確認すること。

過去問
第1・3問論述問題(1989年以降)
第2・4問はトレーニングルームの国公立大対策問題集に収録(1987年以降)

●北海道大学

出題形式
大問4問で、下線の記述問題と短文での説明を求める問題、そして100〜150字の論述問題が出題。

対策
アメリカ・ビザンツ・バルカン半島と周辺史からの出題も多く見られ、幅広い世界史の知識が問われています。空欄補充や記述問題で確実に正解出来るよう私大型の問題をやろう。論述は指定字数が少ないので内容を要約、まとめたりする必要が出てくる。過去問などで訓練しよう。

過去問
ここをクリック!!(1990年以降の100字以内の論述問題のみ。一部省略、改題。)

●筑波大学

出題形式
大問4問ですべて400字の論述問題。

対策
東洋史2題、西洋史2題の割合で出題されていますが、インド・イランなど周辺史からの出題も多く見られ、幅広い世界史の知識が問われています。120分で400字4題なので、問題を見て時間配分やできる問題からかたづけていくというような的確な判断で戦略を立てられるかが重要になる。短い問題文と指定語句から、どんなことを書けばいいか組み立てていこう。

過去問
ここをクリック!!(1987年以降を収録。問題のみ。)

●一橋大学

出題形式
大問3題とも論述問題で、字数は400字、200字などがあり、合計1200字。

対策
近現代史からの出題が多いのが特徴。問題は大きく古代〜近世の欧米、近現代の欧米、アジア史の3題が出題され、近現代史からの出題が多いのが特徴。また通史的な出題だけでなく経済などテーマその学習も必要。90分で1200字書かないといけないので、問題を見て、時間配分や点を稼げる問題からかたづけていくというような的確な判断で戦略を立てられるかが重要になる。過去問で史料や前置きの長い問題文から、どんなことを書けばいいのかをしっかり読みとる練習をしよう。

過去問
ここをクリック!!(1987年以降を収録。問題のみ)

●名古屋大学

出題形式
大問4題で、第1〜3問は下線設問の記述問題と短文の論述問題、第4問は350字の論述問題が出題されます。

対策
中国史は毎年出題されて、史料を使った制度・経済・儒教などの文化の設問が多い。対策としては問題IV以外をさっさと終わらせ、問題IVに時間を掛けたい。問題IV対策に長文の論述の対策も必要。

過去問
ここをクリック!!(1987年以降の問題IVを収録。問題のみ)

●大阪大学

出題形式
大問数は変動し、400字から50字の論述問題が出題される。

対策
出題分野はアジア史・欧米史から半々出る。通史だけでなく、経済や文化・交易といった世界全体を扱ったテーマ史も出ていて幅広い知識が問われる。過去問や論述問題集で論述の対策をしていこう。

過去問
ここをクリック!!(1992年以降の論述問題を収録。問題のみ)

 

●東京外国語大学

出題形式
大問2題で、400字と100字の論述問題が出ています。

対策
近現代史メインの問題。史料や図版を題材に問題が作られることが多くのでそれらをよく読んで正解のヒントをさがすこと。論述問題があるので過去問や論述問題集で論述の対策をしていこう。

過去問
ここをクリック!!(2006年以降の論述問題を収録。問題のみ)

●千葉大学

出題形式
大問3題で空欄や論述問題が出題される。

対策
周辺史からの出題も多く見られ、幅広い世界史の知識が問われています。図版や史料問題が多い。論述問題があるので問題を見て、時間配分や点を稼げる問題からかたづけていくというような的確な判断で戦略を立てられるかが重要になる。

●埼玉大学

 大問2題からなり、国立二次のに珍しく正誤問題が出題される。論述は70字が2題と150〜180字が数題出題されています。

●東京学芸大学

 大問4題で、主に下線設問・空欄補入の記述問題と100字以内の論述問題がでます。設問数が多いので、時間配分等作戦を立てることが重要です。

●新潟大学

 大問4題で、下線設問・空欄補入の記述問題と120字以内の論述問題が出題されます。第1・2問はアジア史、第3・4問は欧米史から出題されています。2008年まで800字論述問題がありましたが09年はなくなりました。

岡山大学

 大問5題で、下線設問・空欄補入の記述問題と100字以内の論述問題が出題されています。幅広い世界史の知識が問われています。

●高崎経済大学

 大問3題で、ほとんど下線設問・空欄補入の記述問題で短文での説明を求める50字以内の論述問題が1・2題出るなど私大的な出題がされます。前近代から1題、近現代から2題という割合で出題されています。

●首都大学

 大問4題で、内3題が下線設問・空欄補入の記述問題と50〜150字以内の論述問題で、残りの1題は300〜400字の論述問題が出題されます。出題分野はアジア史・欧米史から半々出で、中国史は毎年出ています。

●京都府立大学

 大問4題で、第1・2問が下線設問・空欄補入の記述問題で、第3・4問が200〜300字以内の論述問題となっていて、第3問はアジア史・欧米史が隔年で出ています。第4問は史学志望者のみの解答です。

 

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